飲食店開業の成功は物件調査から:注意すべきポイントと対策

飲食店開業に向けて、候補物件が見つかったら、内見や物件調査を行います。
この物件が飲食店としての機能を果たせるかどうかを調査します。また、この物件調査は概算投資額の算定や基本設計に反映されます。「物件調査」は、飲食店開業に向けてのフィージビリティ・スタディの一環です。いわゆる実行可能性調査です。

【物件調査で確認すること】

現場調査の際、大きく下記のことを確認します。
・視認性の取れるファサード(店舗を正面から見た時の外観)は可能か?
 店舗の顔になります。そして、視認性を高めるために店舗前の顧客動線を予測して計画します。
・必要な設備容量は確保できるか?
 電気、空調換気、給排水、ガスの仕様・容量とそれらがどの位置にあるかを確認します。
・計画している客席、厨房、設計などのスペースは確保できるか?
・工事区分はどのようになっているのか?
 商業施設であれば、A・B・C工事と分かれていますので、区分を確認します。この区分によっては、工事予算も変わってきます。そして、この区分が責任区分でもあります。

この中でも設備は特に重要な確認項目です。立地、意匠、視認に問題ない物件でも、設備容量が足りなければ、飲食店として成り立たなくなります。物件調査を疎かにして進めてしまうと、後々想定外の費用がかかることもあります。希望通りでない場合は、ディベロッパーや家主と交渉することになりますが、この交渉は厳しいものになることもあります。内見としてではなく、ここで出店するという気持ちで「調査」をした方が良いと思います。

【「気」の付く内容は重要】

意外と「気」の付く内容は重要だったりします。「気」という字がつくことには、気を使うようにしてください。
飲食店の厨房を人間に例えるなら、人間は呼吸をするとき、吐き続けることはできませんよね。吸い続けることもできません。
吸わないと吐けません。これは飲食店の厨房も同じで、吸わないと吐けません。

厨房の換気を考えるとき、吐くことには皆さん注意しますが、吸うことを深く考えない方もいらっしゃいます。
特に厨房内の「排気(=吐く)」と「給気(=吸う)」を確保し、このバランスが重要になってきます。

【事例紹介】

換気についての事例

ある飲食店に行ったとしましょう。入り口のドアを開けるとき、重く開きづらい経験をしたことはありませんか?大雑把に言うと、これは厨房に直接入れたい給気(吸う)の量が排気(吐く)量に対して少ない可能性があります。足りない分が外から入ってこようとするので、ドアを開けるときに重く感じてしまうのです。

もう一つの換気の例ですが、厨房内の給気と排気のバランスが悪いと、調理した煙が蔓延し、客席にも煙や臭いが出てしまうことがあります。客席が脂っぽいと感じるお店は、この状態の可能性が高いです。

電気についての事例

必要な容量が足りないと、計画している厨房機器や空間に見合った空調機が設置できなくなることもあります。
計画している厨房機器を使えなければ、お客様に満足していただける料理が提供できないかもしれません。
また、空調機が十分に設置できなければ、お客様に不快な思いをさせてしまいます。
その結果、売上が上がらなくなることがあります。

物件調査をいい加減に行った結果

契約後に換気や電気に関する問題が発覚し、ややこしいケースになることが少なくありません。そして、そのまま進めてしまうと、オープン後にお客様に不快な思いをさせてしまい、従業員にとっても安心安全な空間にはなりません。
お客様に不快な思いをさせないようにしましょう。また、従業員にとっても安心安全な空間を作りましょう。

【物件の条件が合わなくても、まずは、諦めない】

物件の立地の評価や売上予測が良くても、設備容量が条件に合わないこともあります。
例えば、給気や排気の取り入れ口が小さい、電気容量が足りないといったケースです。
しかし、せっかく『想い』や『コンセプト』に合った物件が見つかったのに、諦めてしまうのは勿体ないことです。
できないと考えるのではなく、まずはどうやったらできるのかを考えてください。

例えば、物件オーナーや仲介業者と交渉して容量をアップしてもらう、電気容量が足りなければ厨房機器を変更するなど、考えつくすことです。やることを全てやり、それでもどうにもならなければ、他の物件を当たりましょう。

私が諦める時は、いろいろな手を尽くしても、お客様と店舗従業員の安全・安心が保てそうにない時、または明らかに工事費がかさんで収支計画上で店舗利益が見込めなくなりそうな時です。

物件調査は飲食店開業に向けての初期段階ですが、真剣に取り組んでいきましょう!
内見として「見る」のではなく、調査として「観る」ようにしましょう!

最後に

『観の目つよく、見の目よわく、遠き所を近く見、近き所を遠く見ること、それが兵法である。』
(宮本武蔵)