よりよい飲食店づくりの考察(2)

 これまで、私は外食企業でインナーのコンストラクション・マネージャー(以下 CMr)として多くの出店や改装に携わらせてもらいました。
今日は、その中で、「初動の悩み」について書いていきます。

 新店の出店候補があり売上予測を行い売上予測に問題ないと仮定して、出店したい候補物件があったとします。
最初にやることは売上予測をもとに初期投資の予算立案と店舗の収益計画立案です。売上予測や初期投資予算によっては店舗の営業利益が赤字になってしまいます。


 ここで、初期投資の予算を立てるときに悩まされます(「初動の悩み」)。この時点では、極端な話、出店場所と出店面積しか分からず、かつ、標準化をされてなく商業施設などに出店する場合は過去の経験値が無いか少ない状況です。
(大手チェーン店で標準化したフリースタンディングの店を出店するのであれば、過去の経験値から予算立案しやすいのですが)
そのような状況で、まだプランも作っていないのに初期投資(主に設計・施工費)を出さなければなりません。


 当時、「商品(料理)を作るにあたって、レシピが無いのに原価計算して販売価格を決めろ。」と言っているのと同じだ! とよく言っていました。
しかし、何らかの根拠に基づいて、初期投資予算を出さなければなりません。そこで、主に3点のことに取り組みました。


 まずやったことは、直近3~5年の新店の設計・施工費、出店面積、工事区分などを調べ(実は、CMrの担当者がいるのに設計・施工費をまとめていない企業もあります💦)、その店舗すべてを視察しました。それらの数値や条件から統計をとり、予算立案の根拠としました。

 次に取り組んだのが、店舗造りにあたっての標準化です。
インナーCMrとやらせていただいた最後の企業は、立地に合わせて店舗デザインを変えていくという素晴らしいコンセプトを持っていました。ですが、標準化がしにくいというデメリットがあります。だからといって標準化を進めないわけにもいきませんので、少しずつやっていきました。特に、来店客と従業員に関わることから標準化を立案し、社内でオーソライズされるようになりました。

 もう一つは、早期の情報収集です。出店検討段階で、ディベロッパーにお願いして、A工事区分の図面や工事区分表などを入手するようにしました。

 ここまでやらせてもらって、やっと、出店場所と出店面積だけで、今までより精度の高い初期投資予算を立案できるようになり、言い換えれば、レシピはないけど、精度の上がった原価計算と販売価格を出せるようになりました。

 こんな感じで「初動の悩み」を解決してきました。

 次回もよろしくお願いします。